2024年から始まった新しい「NISA(少額投資非課税制度)」では、「成長投資枠」と「積立投資枠」の2つが用意され、個人の資産形成を促進する新しい仕組みが導入されました。このうち「成長投資枠」は、株式やETFなどの成長資産に投資ができ、売買益や配当金が非課税になる枠です。配当金の非課税は、長期の資産形成にとって重要な要素で、特に配当金を活用したインカムゲイン(分配金や配当による収入)を求める投資家にとっては、魅力的な仕組みと言えます。
成長投資枠の特徴と配当金の非課税メリット
成長投資枠の最大の魅力は、配当金や売買益が非課税で受け取れる点です。通常、配当金には約20%の税金が課されますが、新NISAの成長投資枠ではこの税金が免除されるため、手取りの収益が大きく増えることになります。具体的なメリットには以下のようなものがあります。
1. 税金がかからず配当収入が増える
通常、配当金には所得税と住民税が課税されるため、100円の配当金が入っても実際の受け取り額は約80円ほどです。しかし、成長投資枠を使えば、配当金がそのまま非課税で受け取れるため、配当収入を100%受け取ることができます。
2. 再投資による複利効果
非課税で受け取った配当金を再投資することで、複利効果が期待できます。例えば、配当金で新たに株式やETFを購入すると、次回からさらに多くの配当金を得られる仕組みが築かれ、雪だるま式に資産が成長します。非課税での複利運用は、長期投資においてリターンを高める有効な手段です。
3. 高配当銘柄の恩恵をフルに享受
成長投資枠では、特に高配当銘柄への投資が有利です。年利3~5%の配当利回りが期待できる銘柄であれば、税引き後の収益を気にせず、そのままのリターンを享受できます。高配当株やREIT(不動産投資信託)に投資することで、安定したキャッシュフローが得られます。
成長投資枠での配当金活用法
成長投資枠での配当金を活用する方法としては、再投資と現金利用の2つの戦略があります。
1. 投資戦略
成長投資枠で受け取った配当金を同じ銘柄に再投資することで、資産が増加し、次回からさらに多くの配当金を得られます。例えば、高配当ETFに再投資すると、インカムゲインが持続的に増加し、長期的な複利効果を高めることができます。
2. 現金利用戦略
一方、成長投資枠で受け取った配当金を生活費や貯蓄に充てる方法もあります。退職後やセミリタイア生活を考える人にとっては、配当金をインカムゲインとして生活資金に充当するのも有効な選択です。成長投資枠で非課税のまま手取り収入が増えるため、実生活に必要な資金を安定的に確保できます。
配当金を得られる成長投資枠のおすすめ銘柄
成長投資枠で配当金を最大限活用するための銘柄選びには、次のポイントを考慮すると良いでしょう。
・高配当ETF(国内外の株式ETF)
配当利回りが高く、安定した分配金が期待できる高配当ETFが人気です。例えば、日本株や米国株で構成された高配当ETFは、分散効果も得られ、配当金が定期的に支払われるので安定した収入が見込めます。
・国内外の高配当株式
長期的な成長が見込め、安定した配当が期待できる企業の株式も選択肢です。特にエネルギーやインフラ、金融関連の企業は高配当傾向があり、成長投資枠での利用に適しています。
・REIT(不動産投資信託)
REITは不動産の賃貸収入を元に分配金を支払う仕組みで、年間を通じて高い分配利回りが期待できます。新NISAの成長投資枠を利用することで、分配金を非課税で受け取り、不動産への間接投資として安定的な収入源にすることが可能です。
成長投資枠の配当金に関する注意点
1. 投資リスクへの備え
高配当株やETFは株価変動の影響を受けるため、特に配当金を重視した投資では、経済情勢や業績の悪化が配当減少につながるリスクがあります。安定した配当が得られる企業やETFを選び、リスクを分散することが重要です。
2. 限度額と利用計画の確認
新NISAの成長投資枠は年間240万円の非課税枠がありますが、一生涯の上限が1,800万円です。長期的な資産形成を見据えて、配当金再投資の頻度や利用計画を立て、無理なく成長投資枠を活用することが望ましいです。
まとめ
新NISAの成長投資枠で配当金が非課税になることで、特に高配当銘柄への投資は非常に有利になります。配当金を再投資して複利効果を狙うか、インカムゲインとして活用するかは個人の投資目的次第です。成長投資枠を活用して長期的に安定した配当収入を得ることで、資産形成をより効率的に進めることができるでしょう。
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